ピルを服用していても、飲み忘れやコンドームなしの性行為が原因で、まれに妊娠してしまうことがあります。
なお、ピルの避妊率は約99%。
低用量ピルや超低用量ピルの種類によっても、避妊率は異なります。
この記事のポイント
ピルの避妊率 | 約99% ※種類によって異なる ▶詳細を見る |
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服用中に妊娠 してしまう原因 | ・嘔吐 ・飲み始めてすぐの性行為 ・個人輸入したピルの使用 ・ピルの飲み忘れ ▶詳細を見る |
妊娠の初期症状 | ・疲労感 ・少量の出血(着床出血) ・熱感など ▶詳細を見る |
妊娠の確認方法 | 休薬期間の7日目以降に 妊娠検査薬を使う ▶詳細を見る |
ピル服用中に「妊娠したかも?」と思ったら、休薬期間の7日目以降に、妊娠検査薬を使用しましょう。
出血が少量すぎる場合も妊娠の可能性があるため、もしもの事態に備えて、妊娠検査を受けておくのがおすすめです。
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正しく服用しても妊娠する?ピル別の妊娠確率
ピルの避妊率は99%、正しく服用していても妊娠する可能性があります。
なお、妊娠確率はピルの種類によってやや異なります。
▼ピルの種類
- 低用量ピル(避妊用)
- 低用量ピル(フリウェル/ルナベル)
- 超低用量ピル
- ミニピル
- 中用量ピル
ピルの妊娠確率は、「パール指数」で表されます。
パール指数とは、100人の女性が1年間に妊娠する確率のこと。
数値が低いほど、妊娠する可能性が低いことを示します。
低用量ピル(避妊ピル)の妊娠確率
低用量ピルの種類 | パール指数 |
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シンフェーズ | 0.59 |
トリキュラー (ラベルフィーユ) | 0.38 |
マーベロン (ファボワール) | 0.085 |
避妊目的で服用される低用量ピルのパール指数は、どれも1以下。
特にマーベロンはパール指数が低く、服用中にほとんど妊娠することがありません。
低用量ピル(フリウェル・ルナベル)の妊娠確率
月経困難症(PMSを含む)の治療に使われる、低用量ピルの「フリウェル」や「ルナベル」のパール指数は0.19です。
なお、フリウェルとルナベルは、理論上は避妊効果が期待できますが、避妊目的での処方は行われていません。
避妊目的で処方されないのは、国内の臨床試験で避妊効果の確認がきちんと行われていないためです。
未承認医薬品等 異なる目的での使用 | フリウェルやルナベルは国内で「避妊」効果の 承認を受けていない未承認薬に該当します。 |
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入手経路等 | 国内医薬品販売代理店 |
国内の 承認医薬品等の有無 | 国内で避妊効果を有する医薬品には マーベロンやトリキュラーが挙げられます。 |
諸外国における 安全性等に係る情報 | 悪心、頭痛、腹痛などの副作用があります。 |
医薬品副作用 救済制度について | 医薬品副作用救済制度の対象外です。 |
超低用量ピル(ヤーズなど)の妊娠確率
ヤーズやドロエチなどのパール指数は、0.41〜0.80%とされます。
超低用量ピルもフリウェルやルナベルと同様、国内では治療にのみ用いられるピルです。
理論上では避妊効果が期待できますが、避妊目的では処方を受けられません。
海外ではヤーズやヤーズフレックスも、避妊用ピルとして販売されています。
未承認医薬品等 異なる目的での使用 | 超低用量ピルは国内で「避妊」効果の 承認を受けていない未承認薬に該当します。 |
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入手経路等 | 国内医薬品販売代理店 |
国内の 承認医薬品等の有無 | 国内で避妊効果を有する医薬品には マーベロンやトリキュラーが挙げられます。 |
諸外国における 安全性等に係る情報 | 悪心、頭痛、腹痛などの副作用があります。 |
医薬品副作用 救済制度について | 医薬品副作用救済制度の対象外です。 |
ミニピルの妊娠確率
ミニピルの1つである、「セラゼッタ」のパール指数は0.4です。
日本では流通量が少なくあまり使用されていませんが、海外ではミニピルも避妊ピルとして使われています。
ミニピルは、血栓症の原因となる成分(卵胞ホルモン)が入っていないピルのことです。
未承認医薬品等 異なる目的での使用 | ミニピルは国内で「避妊」効果の 承認を受けていない未承認薬に該当します。 |
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入手経路等 | 国内医薬品販売代理店 |
国内の 承認医薬品等の有無 | 国内で避妊効果を有する医薬品には マーベロンやトリキュラーが挙げられます。 |
諸外国における 安全性等に係る情報 | 悪心、頭痛、腹痛などの副作用があります。 |
医薬品副作用 救済制度について | 医薬品副作用救済制度の対象外です。 |
中用量ピル(プラノバール)の妊娠確率
中用量ピルの妊娠確率は、0.2%ほどとされます。
なお、0.2%は飲み忘れなく、定期的に服用した場合の数値です。
緊急避妊薬として利用したり、月経移動のために数日服用しただけでは、高い避妊効果を得られない場合があります。
未承認医薬品等 異なる目的での使用 | 中用量ピルは、国内で「生理移動」「避妊」効果の 承認を受けていない未承認薬に該当します。 |
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入手経路等 | 国内医薬品販売代理店 |
国内の 承認医薬品等の有無 | 国内で生理移動の効果を有する医薬品はありません。 国内で避妊効果を有する医薬品には マーベロンやトリキュラーが挙げられます。 |
諸外国における 安全性等に係る情報 | 悪心、頭痛、腹痛などの副作用があります。 |
医薬品副作用 救済制度について | 医薬品副作用救済制度の対象外です。 |
ピル服用中に妊娠した人はいる?避妊効果が落ちる原因4選
日本で流通しているピルのパール指数はどれも1以下で、高い避妊効果が期待できます。
しかし、高い避妊効果が得られるのは正しく服用した場合のみ。
誤った知識で服用を続けていても、避妊効果は得られません。
思い当たる節がある場合は、妊娠の可能性が高いため、検査薬を使ってくださいね。
ピル服用後に嘔吐した
ピルが吸収される前に嘔吐をしてしまうと、避妊効果が得られず、妊娠してしまうことがあります。
服用後2〜3時間までに嘔吐があった場合には、追加で1錠を再服用しましょう。
嘔吐を繰り返している場合には、ピルの中止が必要になることもあるため、医師に相談してください。
飲み始めてすぐに性行為があった
ピルの効果が出始めるまでには、1週間ほどかかる場合もあり、飲み始めすぐの性行為では妊娠することがあります。
▼ピルの効果が出始める時期
生理の初日から 飲み始めた場合 | 飲み始めた日から |
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その他の期間に 飲み始めた場合 | 7日以上の服薬を 続けた日から |
生理の初日以外のタイミングにピルを飲み始めた場合、効果が期待できるのは、7日以上ピルを服用した後からです。
避妊効果が期待できるようになるまでは、コンドームを併用しましょう。
個人輸入で買ったピルを服用した
個人輸入で購入したピルは偽物のリスクがあり、偽物を服用すると避妊効果が期待できません。
偽物は正規品に似せて作られているため、薬の色や大きさだけで見分けるのは困難です。
病院やオンライン診療で処方を受けたピルは100%正規品で、偽物のリスクはありませんよ。
ピルの飲み忘れがあった
ピルの飲み忘れがあると、避妊率は大幅に下がります。
▼飲み忘れと避妊率
飲み忘れなし | 避妊率99.7% |
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飲み忘れあり | 避妊率91% |
休薬期間(偽薬期間)以外のタイミングで、最後にピルを服用してから48時間以上ピルを飲まないと、避妊効果は消失することがあります。
つまり、2日以上の飲み忘れがあった場合、避妊効果は期待できません。
飲み忘れがあった場合はアフターピルの服用も検討
ピルを飲み忘れたタイミングで性行為があったなら、性行為から72時間以内にアフターピルを服用しましょう。
性行為でコンドームを 使った | アフターピルは不要 |
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性行為でコンドームを 使わなかった | アフターピルが必要 |
アフターピルは、避妊に失敗したあとに服用することで、妊娠を阻止する医薬品です。
低用量ピルと同様、病院やオンライン診療で処方されます。
ピル服用中に妊娠したかも?妊娠すると発現する症状一覧
妊娠したときに現れる症状には、疲労感・少量の出血(着床出血)・熱感などが挙げられます。
ピル服用中の場合、休薬期間に生理がこなかったら妊娠を疑いましょう。
- 疲労感
- 少量の出血(着床出血)
- 熱感
- 腹部の痛みや張り
- 胸の痛みや張り
- めまいや立ちくらみ
- 頭痛など
また、生理がきた場合でも、出血が普段よりも少量であれば妊娠している可能性があります。
妊娠すると起こる「着床出血」は、生理と間違われることも。
万が一に備えて、出血があっても少量の場合は、妊娠検査を行うのがおすすめです。
【妊娠したかも?】不安になったら妊娠検査を行おう!陰性ならピルを継続
生理がなく「妊娠したかも」と不安になったら、妊娠検査薬を使用しましょう。
検査は、生理がこなかったピルの休薬期間7日目以降に行います。
妊娠検査薬はドラッグストアやドン・キホーテなどのほか、Amazonや楽天市場でも購入できますよ。
▼妊娠検査薬の判定
陰性 (妊娠していない) | ピルの服用を継続 |
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陽性 (妊娠している) | ピルの服用を中止 産婦人科を受診 |
妊娠検査薬の精度は99%のため、陰性なら、妊娠している可能性はほとんどありません。
一方、陽性なら妊娠の可能性が高いため、産婦人科などでより精度の高い検査を受けましょう。
望まない妊娠は、病院だけでなく「にんしんSOS相談窓口」でも相談できます。
【Q&A】ピル服用中に妊娠したかも?妊娠確率に関連する疑問を紹介
【ピルに関する注意事項】
低用量ピル・超低用量ピル・中用量ピルには、それぞれ血栓症・不正出血・腹痛・悪心・頭痛などの副作用があります。アフターピル・ミニピルには血栓症の副作用がありませんが、腹痛・悪心・頭痛などの副作用があります。症状について不安なことがあれば、オンライン診療や病院で相談しましょう。